先月に引き続き、2025年3月17日、吉澤石灰工業株式会社さまにご協力いただきまして石灰加工現場を見学しました。日常の様々な場面で活躍している石灰や貨物電車の思い出など、今回も内容盛りだくさんで教えていただきました。身近な製品にも活用されている石灰の世界をさらに深堀していきます。
そもそも石灰やドロマイトって?
前回は鉱山のある三峰地区採掘場を見学させていただきました。大きな爆発音とともに上がる白煙に感激したのが、1か月前です。今回は場所を移し、本社・葛生工場にお邪魔しました。ここでは採掘した石灰を製品に加工し、出荷します。実際の現場を見学する前にお勉強の時間です。実際に製造部門を管轄しているお二人からレクチャーを受けました。

抜粋ではありますが、こんなお話がありました。
・100年前の大叶(オオガノ)鉱山の様子
・石灰の起源はサンゴ。恐竜出現より前の時代のサンゴが時間をかけて石灰になる
・石灰は日本国内で自給自足できる数少ない資源
特にドロマイトの80%は栃木県で採掘されている
・石灰石の化学式はCaCO3で表す
石灰石に含まれる一部のカルシウムと海水中のマグネシウムが置き換わることでできる
ドロマイトはCa・Mg(CO3)2 と表される
・ドロマイトは炭酸苦土石灰という名称で園芸コーナーでも売っている身近な製品
など、久しぶりの化学式に一同頭を抱えましたが、石灰やドロマイトの起源、吉澤石灰をはじめ葛生エリアでの石灰業の歴史について教えていただきました。吉澤石灰工業の石灰の多くが鉄鋼業向けに出荷されているそうです。鉄鉱石から鉄製品を作り出すとき、石灰やドロマイトによって純度の高い鉄を取り出すことができます。私たちの生活に欠かせない鉄製品に不可欠な無機材が、ここ佐野市から世界へ出荷されています。
いよいよ工場の中へ

いよいよ工場内部へ潜入です。ヘルメットやゴーグル、白衣等をお借りして工場見学が始まりました。まず見学したのはロータリーキルンと呼ばれる筒状の設備です。これは採掘した石灰を焼成する機械で、筒の中は1300度以上にもなるそうです。肌寒い日でしたが、炉の周りでは暑さを感じるほどでした。「冬はいいけど、夏の作業は大変そうだよね」と参加者から声があがりました。ロータリーキルンの筒がゆっくりと回り、満遍なく石灰を焼いていく様子に、ロティサリーチキンが思い浮かんだのはここだけの話です。

加工前の石灰は灰色でしたが、加工後は白色に変化します。その違いがわかるように実験コーナーを催していただきました。加工前の石灰は水にいれても変化はありませんでしたが、焼いた石灰はさーっと水に溶けてしまいました。もともとの石灰が持つ性質と、お客様のご要望を満たせるように、焼き加減や材料を調整しているそうです。
ロータリーキルン見学後はタンカル工場見学です。タンカルという聞きなれない言葉ですが、石灰石(CaCO3)を粉砕後、粒度調整した製品で肥料として利用されています。アルカリ性の石灰は酸性土壌を中和させ、土壌の質が向上するそうです。学校の校庭に引いたあの白い線もタンカルです。
焼いたり、水をかけたりと用途によって加工したものが私たちの身近な製品や安全を守るために使われています。防虫のための燻煙剤や食品を保存するラップ、鳥インフルエンザが発生した時の散布剤など、その性質を利用して多くの場面で石灰やドロマイトが役に立っていることがわかりました。
参加したS・Cフラワーズメンバーも驚きがいっぱい
ここからは参加したS・Cフラワーズのメンバーからの感想をご紹介します。

えみさん(佐野市外在住)
石灰は、建設、土木に使われるものと認識しておりました。が、身近な物に使われていたことを知り驚きました。
天然鉱物であり、熱処理次第で姿を変え、捨てる所はなし!
石灰はサンゴ礁の地球の変動により取り残されたサンゴ礁や海山が残り石灰化!地球の歴史を感じます。
東武線の話も良かったですね!
今でも石灰石、ドロマイトを地下を通る電気機関車で運んでいるそうです!これまた見てみたいですね!
葛生駅まで続いていた線路の名残も見られ、昔を想像します。
葛生駅までの線路の名残を探るのも楽しいかもしれません!
ヘルメットを被り、ゴーグルに白い防護服を着て、これもなかなか経験できないことなので、最初からテンションが上がってしまいました。
会長のお人柄も良く、会社の大きさを物語っていたように思えます。
ご説明頂きました社員様のお気遣いにも感謝致します。
佐野市にはたくさんの企業があります。知ることにより、市民が消費する!応援が出来ますね。
素晴らしい企画をありがとうございました🥰
ちえさん(佐野市在住)
石灰と言えば、漆喰やセメント、建材関係と思いきやこちらで扱われるトップ1は
鉄鋼に使われている?
何故?
化学でした。私の苦手とする化学記号から生み出されるなんて思いもよらなかったです。
採掘したドロマイトを含む石を大きな窯で、何千という高温で焼いて、商品化しているなんて!
全ての作業が安全でなければならない現場はちょっと緊張しながら見学させていただきました。
お忙しい中、たくさんの人々に配慮していただきありがとうございました。
たくさん(佐野市在住)
石灰といえば運動場の白いラインという知識で参戦しましたが、工場に足を踏み入れた瞬間、すべてのスケールの大きさに圧倒されました。なかでも石灰石を焼く筒型の装置は全長55メートル、直径3メートルの巨大さで、1300度以上の高温で焼かれるとのこと。
灰色の石灰石が2時間の焼成後には白い石灰に変わるそうです。社員の方の化学なお話もわかりやすく、帰宅後もホームセンターで苦土石灰が気になるこの頃です。
吉澤石灰工業株式会社の皆様、お忙しい中ありがとうございました。
工場見学のあとにも、振り返りの時間をとっていただきました。工場に電車が通っていて、市内に輸送されていた時代のお話を伺いました。工場のスケールの大きさにびっくりしたり、身近な製品に活用されていて親近感を覚えたりと充実の時間を過ごすことができました。また吉澤石灰工業の社員さんの真摯な姿勢にすっかりファンになってしまいました。改めて吉澤石灰工業の皆さま、貴重な機会をありがとうございました!
事業団友の会S・Cフラワーズはメンバーの募集中!
今回見学会に参加したメンバ-は佐野市民文化振興事業団の友の会 S・Cフラワーズです。佐野市の歴史や文化を探求するbe文活フレンズとイベントの企画運営を行うS・Cフラワーズの2グループが絶賛活動中です。先日すぐに満席になってしまったアイシングクッキー教室を企画・運営したのもS・Cフラワーズのみなさんになります。
文化活動やグループ活動をしてみたい方であれば、友の会にご参加いただけます。毎回参加する必要はなく、都合のあう時や興味があるイベントのみ参加する方もいらっしゃいます。もちろん入会金や年会費、参加資格も特段ありません(イベントによっては交通費や実費が発生します)。
気になる方は0283-55-5666までお知らせくださいませ。日常にわくわくをプラスしたい方、ぜひお待ちしています!(文化活動コーディネーター 尾花)