今年、8月の3日と4日に、東児童館で子供たちを対象に壁画アートプロジェクトという講座を開催します。テーマは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」です。絵本の読み聞かせからはじまり、チェロの音色を子供たちに聞いてもらってイメージを膨らませ、制作を進めていくワークショップです。その準備の一環で、Aさんが賢治の関連資料をいくつか借りてきてくれました。なんと、その中の一冊に中村哲の本があるではないですか。
中村哲という人の存在を知ったのは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ後、アメリカ軍がアフガニスタンでアルカイダの掃討作戦に出てから比較的間もない時期だったと思います。その時の第一印象は、こんな活動をしている日本人がいるんだと、そして、彼の生きざまと朴訥とした語り口に深く感銘を受けました。以来、彼の言動が気になり、機会あるごとに彼の発言に耳を傾けてきました。命の危険と隣り合わせで活動を続ける中、仲間の伊藤和也さんが2008年に命を落とした後も一人アフガニスタンに留まります。しかし、2019年12月4日、中村さんは凶弾に倒れました。彼が終生意識し続けた人物が宮沢賢治でした。