先週、鋳物作りの体験会を若林秀真・美延さん親子を講師に行いました。若林鋳造所の工房にお伺いし、みなさん、和気あいあいと楽しい雰囲気で皿つくりに挑戦していました。この若林鋳造所は、もう40年ほど前に初めてお邪魔をした思い出の場所です。民俗学の知識など全くなかった私ですが、その頃郷土博物館で民俗の分野を担当させられていまして、ある時突然、鋳物の調査に行けとの命が出されたのです。以来、足掛け3年若林家に通うことになりました。まあ、間違いなく若林家にとっては「お邪魔」でした。若林家からお許しを得たものの何から始めてよいかもわからず、ご当主のご機嫌を損なわないよう恐る恐るの調査開始でした。今の工房は明るく雰囲気も秀真さんの人柄を表すものですが、当時は昔ながらの鋳物工場で、日中でも薄暗くその上埃っぽく、今から思うとなかなか味わうことのできない独特の空間でした。天明鋳物の知識どころか、右も左もわからない若造を徐々に受け入れていただき、普段経験できない色んな体験もさせていただきました。
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