牧野富太郎の文化[2022.7.19]

 山野で見かける草花は、まず名前がついているものと考えがちですが、今でも時折新種が見つかったニュースが流れます。小学校の頃だったと思いますが、牧野富太郎という人の名前を先生に聞いたか、何かの本で知った覚えがあります。1,500種類以上もの草木に名前を付けた凄い人のようですが、私がその人の名前をずっと覚えているのは、植物学の大学者なのに彼が小学校を2年で辞めてしまったことが理由なのかもしれません。彼のことを思い出す時、もう一人名前が浮かんでしまう人がいます。南方熊楠です。私にはとてもとてもそんな生き方はできませんが、熊楠の人生にも感動してしまいます。

 植物はもともと名前などあるはずがないので、人間の営みの中で名前をつけられていきます。植物を区分し名前をつけることは、人間の知的探求心が生み出した銘々の文化なのだと思います。

 湿度が高くムシムシするこの季節、唐沢の山内に分け入るとこの時期らしい植物に出会うことができます。マヤランもそうです。不思議な植物で、普通の植物のような葉っぱや根っこがありません(腐生植物)。いわゆる根も葉もない話ではなく、変わった植物です。この名前も牧野富太郎先生がつけたものです。和名はこの種が初めて発見された神戸市の摩耶山にちなむそうです。絶滅危惧Ⅱ種です。移植することはできませんので、採取することなく、眺めて楽しむか写真に収めるだけにしてください。

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